sound village


「大人になってるって(笑)」

柏木が口元を押さえ
涙を目尻に溜めて笑いを
堪えている。

…笑いすぎだ。

「斐川も、早く大人になりや(笑)」

「」

…一言も二言も多いんだよ
お前はっ


「うっ…」


小さく喉をならした神島に
はっとして、ステージに
視線を向ける。


「神島…レンちゃんの母親
みたいになってきてるな。」

柏木が笑いながら言えば

「もう母親でいい。
お前達みたいな間男がいるのに
あの人は、スキだらけだし…
見てるこっちがヒヤヒヤする。」

などと、あっさりキャラ変更を
認めてしまった。

聞いた事もない曲だが
恐らくここからサビなんだろう。
係長とビジュアル系の嫁が
テレビで見る様な掛け合いを
始めたのだがその迫力に息をのむ。


ソウルフルでダイナミックで
全力で自分は歌手だって
言ってる様に聞こえる。


…いつ…練習したんだろう。


その存在感が圧倒的で
俺たちは、ただただ無言で
係長のライヴを観ていた。



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