sound village
そういえば、テルテル
トイレに引きこもってるって
言うてたな。
「お先に失礼します。」
まだ、彼女が、デスクに戻って
来ていない事を、チラ見して
確認し、荷物を持って階段へ進む。
周りに人がいない事を見てから
誰も使わない階段を登り
いつか、レンちゃんと行った
屋上を目指す。
そっと扉を開ければ
“ズッ”“クスン”と
小さく音がして苦笑する。
やっぱり泣いてた。
「レンちゃん。」
驚かさない様に
うずくまり壁の方を向く
女の子に声をかける。
ビクッと肩が震えて
こちらを振り返り見上げた瞳から
ポロリと大粒の涙が溢れた。
「涙拭いて。」
レンちゃんの握りしめた
ハンカチでは、もう水分を
吸収しないやろう。
自分のポケットから
取り出したハンカチをさしだせば
キュッと結んだ唇が震えて
小さく声が漏れる。