sound village
 


…口をはさんで申し訳ないけれど
と、前置きをして、彼は
言葉を続ける。


「お2人とも…悩んでますよね。

俺と柏木…どっちに
出向させるかって事…

柏木みたく、器用にはできない
けど…。俺だって、問題児を
扱って来たし、逆境だって…
切りぬけてきた。

俺は…お2人が思うよりも
臨機応変に生きていけます。」


苦笑混じりのそんな台詞を
こんな若い子に言わせるなんて…

気を遣わせる程、自分達が
余力を無くしていたなんて。


自分達の無力さ加減に
本当に腹がたつ。


こっそり奥歯を噛み締めた
自分と違い、テルテルは
苦笑混じりに、席を1つあけて
神島くんを見遣る。


「お疲れさん。まあ、座れや。
晩飯まだだろ?
一緒に食っていけよ。」


“好きなもん食えよ”そういって
神島くんにメニューを渡す。



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