sound village
…もし…柏木の
読み通りだとしたら
「お前は…わかってて
のったのか?」
コンプライアンスやら賞罰対象
バレれば、色々面倒な目に
あうのに。
「俺らみたいなぺ―ぺ―、
バレたところで、大した罰
食らわんよ。上司命令で
動くんやから。表面上は。
それより…上司のが危ない。
クビ飛ばされても文句言えへん。
それ、わかってて2人とも
やってくれるっちうのは
解っておいた方がいいやろな。」
俺以外の人間が、リスクを覚悟で
俺にチャンスを与えようと
奮闘してくれているだなんて…
「…俺は…
恵まれているんだな…」
「お前の実力を試させてみたい
…それは、俺らも一緒や。
上司2人の方が、社会的スキルも
人脈も、駆け引きの実力も
あったて事や。」
“ちょっと下に甘すぎるけどな”
そういって、笑みを浮かべた
柏木の宙を見据えた視線の先には
きっと…音村係長が
映っているんだろう。
コイツは、昔から鋼の意志を
もっていた。
それは、戦術だけだと
思っていたけれど…
今では、それは違うと
知っている。
コイツは、
ありとあらゆる事において
きっと…
…音村係長の事も
俺より覚悟を持ち“好き”だと
態度で公言している。
厄介なヤツが
ライバルになったものだ。