sound village


足元にあったボールを拾い
宙高く放物線を描くように
放りなげる。


“シュッ”

聞きなれた音がして
ボールがリングを通過する。


「…相変わらず…えげつない
スリーやな。」


柏木が苦笑する。


「まあ…上には上が居ったケド。」


そういって、駆け出し
コートに弾んだ球を手にして
リング下へ踏み出す。

この間の試合で、
神島の幼馴染みが
柏木とプレーをしながら、
“完全復活だな”なんて
喜んでいたけど。

そのくらい、酷い故障をして
柏木はアメリカから帰国した
らしい。


見えない敵を交わしてからの
ーーーダブルクラッチ……



いつみても、鮮やかで
…性格を表すような技(笑)


今、柏木の見ていた敵は
誰なんだろうか?


「よし。明日も仕事やし、もう
1ゲームだけやって帰るか。」


ヤツの手元から、速い球が
送られる。


「ああ。」


一言応えて、ドリブルで
リングの方へ近づく。

柏木が素早くディフェンスに
ついてくる。



…明日、全てきまる。


誰が渡米するのかーーー
判明する。






< 344 / 625 >

この作品をシェア

pagetop