sound village



「音村。佐藤。来い。」

2人の帰社に気づいた部長に
呼ばれ、係長達は再び部屋を
出ていく。


「みんな、定時になったら
自動的に撤収するんだよ。
何かあったら、連絡してね。」


業務用携帯をチラリと見せて
音村係長は笑みを浮かべた。


昨夜、先輩社員に同行帰社し、
いつもより、かなり遅い退社時刻
駅と反対方向に向かい歩く
音村係長と佐藤係長を見つけた。

雰囲気のある小料理屋の
のれんを潜る2人を思わず追って
口数少なくも酒を酌み交わす所を
死角となるテーブル席から
暫く見ていたけれど。


俺たちの前では、極力
笑顔を絶やさない2人の上司の
悩める姿に、正直、居ても
立ってもいられなくなった。


……リヒトの名刺を見た瞬間…

大体の状況というか、
目的は、理解したから。




 
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