sound village



エレベータが間抜けな音を立てて
指示した階で止まる。


開いた扉の向こうに
レンちゃんが壁にもたれ立ち
天井を仰ぐのが見えた。


“レンちゃん”


その一言が、喉にひっかかって
出てこない。


「係長、お待たせしました。」

口火を切ったのは…

こんなイレギュラー時、
一番動揺しそうな…


…神島、だった。


「ああ。こんな時間にゴメンね。
手短に終わらせるから。」


疲れた表情のレンちゃんを
筆頭に歩みを進める。


ふと、レンちゃんが

足を止めた。



「…わかってると思うけど…
これから…研修人員を内示する。」


彼女は、真っ直ぐ前を見据え
噛み締める様に言葉を紡ぐ。



「…ムコウに行くヤツは…

うちでヤル気があるなら…
1年で帰ってこい。

…そのつもりで、行け!!」


“そうじゃなけりゃ
…帰ってくんな。”


小声で、そう締め括り
こちらを…俺たちを見つめ
潤んだ瞳で、笑みを浮かべた。



「「「…おう!!」」」


思わず揃った返事に


「返事は“はい”だろぉが。
この、スポコン男子ども(笑)」


そういって、彼女は苦笑した。




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