sound village



昼休み、いつもの屋上へ
足を運ぶ。



「啓太?」

「お疲れさま。斐川くん。」


今日も問題集を片手に
パンをかじる姿に

…もしかしたら…

もう、こんな風に
会えないかも…しれない
…なんて

漠然と、感じる。


「どう?話が決まってから。
忙しいでしょ?」


そんな事をいいながら
俺が座れる様、場所をあけて
くれる。


「確かにバタバタしてるな。
わかんないところ、ある?」


テキストを手に取り
ページを捲りながら問う。

「今日のところは、大丈夫。
ところで、斐川くんの英語の方は
どんな調子なの?」


思わず、ぐっ…と
喉がつまる。

…正直、バスケに全精力を
注ぎ込んでいた。


「コラコラ。…いくら
佐藤係長とレンちゃんが
優しいからって…(笑)」


…ご指摘の通りだ。

聞いていたじゃないか。
柏木からーーーー


「言いにくいのなら
俺が言ってあげる。
レンちゃんに。」


そういいながら、啓太は
スマホを取り出し、タップする。


「待て!!」

思わず、その手を
止めかけた時

「ぬおっ?!」

タイミングよく
着信音をあげたスマホに
啓太は、慌てふためく。



「へっ…?真月…?」





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