sound village
運転手争奪戦 ** side柏木
「神島、斐川どこにいるか
知ってる?」
テルテルから、斐川宛の伝言を
あずかり、張本人を探す。
「この時間なら、いつもの場所に
いないのか?」
急ぎの提出物を抱えた神島が
昼時だというのに、デスクに
へばりつき、顔を上げずに答える。
…相当、切羽詰まってるな(笑)
「ああ、ノーチェックやったな。
ちょっと見てくるわ。序でに
昼飯、何か買ってこようか?」
「マジ?助かる
俺、午後からアポ入ってて」
「わかった、わかった。」
神島は、何か思う所がある様で
最近、先輩社員に指導を仰ぎつつ
その仕事を手伝っている。
強い眼差しをしているから
何かオモシロイ事、考えて
いるんやろうと思う。
…面白そうやったら
便乗したろ(笑)
階段を上り、重い鉄扉を開ける。
光がパアッと差し
一瞬、ギュッと瞼を閉じる。
歩みを進めれば、非常階段の影で
問題集らしきものを地面に置き
スマホでやり取りする斐川と、
横で様子を伺うチビッコの姿が
見うけられる。
「…ギックリ腰ですか…(笑)」
斐川のカオがひきつっている。
「病院とかって…はい…。
あ…はい…。ああ、俺が
付き添います。
啓太じゃ支えにくいだろうし。」
…あれ…レンちゃんの事
違うんか?
斐川の電話の内容から
今日、体調不良で休んでいる
大好きな女の子の事ぢゃあ…?
っと、ひらめいた。