sound village



無意識のうち、自分の閃きに
反射的に反応し、2人に近づく。


「あ。」


斐川の背後から
スマホに手を伸ばす俺に
気づいたチビッコが
声を漏らしたけど


「…う゛(泣)」

自分の唇に人差し指を当て
目力で黙らせる。

…いくら何でもビビリ過ぎや(笑)


斐川の手からスマホをかすめ
耳に当てる。


「えっ?柏木っ」


焦る斐川に、なるだけ
ダークな笑みをプレゼントする。


『…今度はダレに替わった訳?』


受話器の向こうで
苦笑する声


この声はーーーー

……多分


「ご無沙汰してます。
1号です。」


『…おおっ1号
その節はどうも真月です。』


…やっぱり…あの

オネイサンやったか。


「それで、レンちゃんの具合は…」


このオネイサンが、相手やと
俺ですら手こずる。
さっさと情報収集して切るに
限る。


『ああ、それなんだけど…』

素で話しだした真月さん
やったけど…
耳元でピーピー悲鳴をあげる
スマホ…


「げっ?!ああっ電池がっ」


だあっちゃんと充電しとけやっ!

焦りも虚しく真っ黒になる液晶…

どいつの持ち物かと
不機嫌を隠さず、足元の2人に
無言で視線を送れば。


…今にも泣き出しそうな
総務のチビッコがいて…





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