sound village



「1課全員戻ってるな。
ちょっと出る用事が出来たんだ。
お前ら、誰か一人同行できないか?」


「いいっすけど。何処ですか?」


テルテルが行き先を問うも、


「ああ。そこ、扉全開にしておいて
くれ。危ないから。」


部長は、扉を開けた従業員に
そう声をかけて、一瞬間を置く。


「ああ、行き先だったな。
音村を拾って病院へ連れて…」

「「「俺が行きます!!」」」


部長の話もそこそこに、
意図を解した俺らとテルテルによる
運転手争奪戦が始まる。


「つうか、神島!?お前、
アポあるんやろがっ!?」

容赦なく神島を切り捨てた俺の声を
先輩社員が拾う。

「神島、それなら、
時間ずらしちゃるから、運転手
行って来ていいぞぉ。」

げっ!?何ゆうてくれてんねん。
ライバルは一人でも蹴落としたいのに。

「なっ?大丈夫だ。」

ドヤ顔の神島に気をとられていれば。


「部長、鍵預かります。」

…あんのクソガキ(怒)

ちゃっかりこちらを出し抜き
部長から車のキーを入手しようとする
斐川がいて。


「ああ…斐川も中々の策士だな。」

部長は、苦笑混じりに頭1~2つ分
高い位置にある斐川を見上げる。


「でもな。」


俺らの視線は、そう言葉を続けた
部長の手元のキーに集中していて。

これを斐川が受け取れば
敢無く“THE END” 


 










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