sound village
「世の中、公平にいかんとな。」
部長は、そういって部署の解放された
扉に向かい、車のキーと
ガソリンカードのはいったケースを
シュッと投げる。
反射的に体が動き、扉に向かい
走り出していた。
「早いもん勝ちだ。そのキー
持って車に一着でついたモンが
運転手な。」
背中で部長の声を聞く。
やっぱりそういう、趣向か。
廊下に滑りでて、キーケースに
もう少しで手が届くかというところで
それが、掠め取られる。
「いただきっ!!」
「げっ!?誰やねん!?」
ダッシュは俺が一番早かったはず。
姿勢を立て直し、階段に向かい走る
その背中は、まさかの……
「テルテル!?」
「やられたっ!!あの人
インハイ、スプリンターで出てた
らしい。」
最もノーマークやった人物に
リーチかけられるとか
あってたまるか(怒)
・・・・まだや・・・・
そう思った瞬間、床を蹴る。
ディフェンスは得意なんよな。
狭い廊下を、俺と神島と
斐川が、せめぎあって走れば
狭い上に、かさばる。
邪魔な通行人を避けつつ
全力で走り、ターゲットの背中を
視界の端に捉えた。
あとは、チャンスを掴むだけ。