sound village
「で?結局、誰が同行して
くれるんだ?」
背後からの問いかけに
振り返れば、事の発端を
作った部長がいた。
ーーーーその、何ともいえない
表情………
明らかに顛末を見てたよな?
車のキーを手に、立ち上がり
“ビクトリー”等と叫ぶ
佐藤係長と、駐車場に転がった
ままの柏木の傍に、オロオロする
チビッ子の姿を見つけたのだろう。
「ああ‥‥たしか、総務の‥‥。
そういや、適任が居たな…。
お前たちのキャラクターが強すぎて
すっかり、頭から抜けていたな。」
“盲点だった。”等といいながら
部長は、苦笑混じりに
言葉を続ける。
「なあ。お前ら、“推しメン”って、
知ってるか?」
「あ、ハイ。あの…アイドルの‥
ですよね?」
部長の口から“推しメン”って…
突然何事かと、聞き返せば。
「3階見てみろ。」
部長が顎で指した方向は、
まさしく俺たちの部署で。
そこには、窓に詰め寄るオッサン
…いや、先輩たちの中には、
当然、俺たちと同じ課の人もいて。
なにやらそれぞれ、談笑し
こちらを見物している。