sound village

1号推しのオトコ **sideレン




「しっかし…まあまあ、
重症だったな(笑)」


診察を終えた私を
自宅アパートに放り込む
道中の車内で、テルテルが
苦笑する。


「流石に今回は、ムリだと
思ったよ。やっぱ、疲労と
冷えから来たのかな。」

先に電車で事務所に帰った
部長不在の車内は、どことなく
雰囲気が緩い。

「冷え?」

「何でもない。こっちの事。」

「何もない事ナイでしょうが?
音村の場合。」


…まさか…疲労は、ともかく‥‥
年甲斐もない姿を晒した挙句
冷えただなんて(泣)

口が裂けても言うものか(泣)


「そういえば…部長が言ってた
けど。テルテル、イケメン達と
揉めたの?」

話をすり替え序でに、
先程の部長の迷言について
探りを入れてみれば。

「…はっ?何で?」

と、不可思議な表情をする。

「公式戦云々って言ってたよ?」

そう答えを促せば。

“ああ。アレな。”と、
クスクス含み笑いを見せる。

「運転手争奪戦?俺が
若造達を制したまでよ。
っつうか…一週間絶対安静か。」

「この時期に…イタイな…」

信号待ちの車内を、
重い沈黙が満たす。

「参ったなぁ。昨日に限って
パソコン置いて来ちゃったし。
アレがあれば、在宅ワーク
出来んのになぁ。」

レンちゃんたら、
ついてない…。















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