sound village
不信感満載のまま、
部長に外出と直行直帰の
報告をして、ホワイトボードの
予定を更新する。
総務に顔を出せば、啓太が
待ってましたとばかりに
ダンボール箱を持ってくる。
「車まで運んであげる。」
明日の資料で、両手が塞がる
俺をみて啓太がちょこちょこ
ついてくる。
楽しげに、こちらを見上げて
話している、その姿はまさしく
…乙女そのもので(笑)
吹き出しそうになる。
… ココには…大事な物が
いっぱいある。
まだ1年すら経たないのに。
大事なものが、
山ほどある。
……今までなら……
手放すだとか、
置いていくだとか、
考えられなかった。
計算で全てを選んできた
自分が、そうしない訳は
至って簡単で。
係長が…必死に用意してくれた
機会だと、重々承知している
…から。
…不完全燃焼を、許さない人だと
感覚的に理解しているから。
俺は、この機会を
何より、大切にしなければ
ならない。
どう、転んでも
出来ること全てを
試さなきゃならない。