sound village
賽は投げられた **side レン/
テルテルに騙されたのだろう
パソコンを搬入してくれた
斐川くんが、指定した場所に
パソコンをセッティング
してくれる。
…いやはや、あのまま
斐川くんが帰っていたら
間違いなく真月さんか
啓太をお呼び出しの刑だった。
…助かった…(泣)
「…手際いいねっ✨」
器用に、マウスとキーボードの
設定をする斐川君を眺めながら
感嘆する。
「いや…USB…差しただけ
ですよ。」
呆れた様な表情で、
戸惑いマックスな
受け応えをした彼は、
すこし目を泳がせた。
…それがワカラナイから
困るのだよ。
「それより…こんな状況で
在宅ワークだなんて…。
そんなに、仕事が…。」
言いかけて直ぐに斐川くんは
言い淀んだ。
…どうした?
「例の…統合の件ですか?」
伏し目がちの目蓋は
レンズ越しにもわかるくらい
長い睫毛が縁取っている。
「斐川くん、睫毛長いね。」
「はっ?」
思わず、ガン見した上
性懲りもなく、突拍子もない
質問をしてしまった。