sound village
喉に言葉が引っかかり
うまく声が出ない。
「…すいません。
困らせてしまいましたね。」
フォローまで、部下にさせて
どうすんだよ…自分…
「私にとっては、
みんなは可愛い後輩だよ。
皆の事は、好きだし
大事に思っているけど
それは、誰かが突出してる
訳じゃないんだよ。」
何とか言葉を繋いだけど。
ねぇ…
そんな泣きそうな
表情しないでよ。
私、これでも上司なんだよ。
最後まで、ちゃんと任務を
果たしたいんだよ。
君たちの未来に、つまんない
キズをつけたくないんだよ。
でも…それは…
あくまで、わたし主軸の話で。
そんな手前味噌な
言い分を通せないほど
真剣な表情の斐川くんに
そろそろっと指を伸ばし
柔らかな髪に触れる。
ハッとした様に、こちらを
見遣る彼に言葉を送る。
「いまは、他にやるべき
ことが、あるんじゃないの?
英語とか、英語とか、英語とか。」
「…全部…英語じゃないですか。」
バツが悪そうに拗ねる表情が
殊の外かわいい。
…イケメンってヤツは
何をしても得である。