sound village
純情男子** side斐川
神島と柏木が部長に連れられ
外出した直後、ピータイルの床を
OAチェアーに座ったまま
あのヒトが器用に床を滑り
近づいてくる。
…イヤな予感しかしない。
「斐川、昨日どおだった?」
“どうって”…どう答えれば
いいのだろう。
“チャンスとばかりに、
想いを伝えました。”と
言えば良いのだろうか?
“…柏木と出くわしました。”と
言えばいいのだろうか?
そもそも、このヒトは、
俺に何をさせたかったと
いうのだろう。
…だから…
「佐藤係長の…ご期待通りの
状況ですよ。」
等と、誘導尋問にかければ
「…マジかよ…」
驚愕の表情でもって、
視線を彷徨わせる。
…なにか…マズイ地雷を踏んで
しまったのだろうか…?
いや、このヒトは、一体
俺の台詞から、何を想像したと
いうのだろう…。