sound village
「やっぱないか・・・
何処になおしたんだろう・・・」
探している資料が見つからず
思わず眉間にシワを寄せて
書庫を睨み付けてしまう。
「ああ、いた。音村?」
不意に背後から呼び掛けられ
慌てて声がした方向を振り返る。
「・・・おまえ(笑)、この顔面、
確実に不適切な映像ぢゃね?」
同期の佐藤が、笑いながら
シワを隠すべく、私の額に
付箋を貼りつける。
「なにすんだよっ!
ってか、テルテルちょうど
よかった。」
「誰がテルテルだよっ!?」
佐藤氏が一番嫌う呼称で
仕返しをしてやる。
すっかりコヤツの存在を
忘れていたけど、
コイツなら探し物の在処を
知っているかもしれない。
「ねぇ、2年前に2人で
組んだ案件覚えてる?」
周りに聞かれたくないため
自ずと情報を隠してしまう。
「音村レンよ……
お前のメモリのキャパぢゃあ
所詮限界等知れているが…
俺達で成立させた案件なんて
一杯あるだろう。どれだよ?」
都合良くか…どうだかーー
社名が出ないのは
私の記憶力の悪さのせいだと
思っている様だ。
乗っかってやろう。