sound village

意外に卑屈 ** side 柏木




「えっ?!柏木くん?!」


思いの外、大きな声が
出てしまったらしく、
慌てて口元を両手で覆う
その人は


「…何で、…うち、
しってんのよ。」


驚愕の眼差しを持って
こちらを見遣る。


「いや…カーナビの履歴みて…」


確実にアウトな自分を
重々自覚している事も…

レンちゃんに見離された様な
感覚に焦りまくって
衝動的に来てしまった事もあって
気まずい…


限りなく…気まずい。


怒られた子供のように
拗ねた顔をしているであろう
自分の身の置き場がない。



「…やりすぎました。
すいません…」



頭を下げて、
運転席に身体を向ける。


膝の具合も、精神状態も
コントロールが出来ない
自分に視界が滲む。


「…1号、おいで。
そんな状態で運転しちゃ
危ないよ。」


久々に呼ばれた“1号”に
こそばゆい気持ちで
声の主を見やれば。


ヒョイヒョイと手招きして
こちらに背を向けて
ユルユル歩きだす。






< 413 / 625 >

この作品をシェア

pagetop