sound village



「…つうか、一応言っておくけど
お前ら、仕事でアメリカ行くって
分かってる?」


柏木は、先ほど、間接的に
“自分はアメリカでバスケする”
って、意思表示した訳だが…

それって、…まずくねぇか?

そう思って、渡米の目的について
再確認してみたわけだけど。


「…わかっているつもりだ。」


…斐川、お前は、まったく
分かってないから。


「せっかくムコウに行くんやから
バスケしたいやん。絶対、オモロイのん
わかってるんやし。」


…柏木、テメェは、この前まで
こっちに残りたいって、
散々、ゴネていたじゃねえか…


「あんた、リベンジする気ないの?!
いやぁ~見損なった!!」


…なんでお前まで…

お前は、黙ってろ….
…言えば、倍返しなのは
明白だから、黙っているが…


まあ、異口同音で、
仕事そっちのけの回答が
返ってくる。


「柏木、お前、こっちに居たい
って、ゆってたのに。
どういう風の吹き回しなんだよ。」


そう問えば。


「…自分でも分からん。

…自分のひざに、次はないって
分かった瞬間、真意っていうか、
優先順位とか、何かもが
クリアになった。」


躊躇なく、あっけらかんと
奴は言う。














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