sound village
自室に帰り、荷物を整理する。
もう間もなく、
渡米の手続きが始まる。
大学生になって住みだした
このアパートも、これを機に
引き払い、一旦実家へ
家具なんかは送るように
している。
「…しっかし、家具付きの
一軒家を、社宅として
丸々借り上げるとは。」
…それなりの規模の会社に
就職できたということか。
そうは言っても
まだまだ、ロクに
使えたもんじゃないけど。
スマホをタップして
予定表を確認する。
間もなく荷物の発送と
居室の退室とそれにまつわる
手続き一式の手配の期日だ。
…とうとう動きだすんだ。
赤枠で囲まれた
“数日分の着替えと所持品を
持って、ホテルに各々チェックイン
請求は会社もち”
総務のチビッコが、初めての
試みだし、手配なんかが
漏れない様にと、会社が必要な
手続き以外の事項も一覧にして
俺たちにメールしてくれていた。
ホント、気が効く。
…俺もこんな風に、何かを
任されて、一人で分担を
完結できる様になりたい。
いや、ならないといけない。
俺は、絶対こっちに
帰ってくる。
あの日、音村係長が言った
言葉を信じる。
また、皆で、何かを
成し得ることができる様に
力をつけるんだ。
“あの頃”学んだ。
焦りと諦めは禁物だ。
今、出来ること、
やるべき事を
俺はやるのみだ。