sound village


ビジュアル系の旦那の愛車に
乗り込む。


「いい?出すよぉ?」

「はい。お願いします。」

流石に手馴れた。
シートベルトを着用して
座席位置を限界まで
奥に下げる。


「いや〜。最初は、
車に入るのかって、
ビックリしたけどねぇ(笑)」


…そんな事を聞かれたのは
初めてで、俺の方こそ
あの時は、ビックリした。

“君、国産車…収まる?”

…彼女の目には、俺は
化け物か何かに映って
いるのだろうか?

俺ほどではないにしろ
貴女の旦那も、柏木や
神島並みのタッパだろう。

「斐川くん。レンちゃんに
告白したの?」

「…はっ?」

ちょっとした回想に
気持ちを寄せていた為
不意討ちな問いに
心を乱して動揺を
曝してしまう。

「…なんで…」

そんな事を聞くのか…と、
声を絞り出すうち、
あぁ…

「音村係長から…
聞かれたのですか…」

大人になっても、女性は
恋愛話で盛り上がるのか…
と、溜息まじりに零せば。


「まさか。そんな面倒なこと
しなくても、必要があれば
霊視するわよ。

君が、スッキリした表情を
しているから、そうなんだ?
って、カマかけてみただけ。」


「はっ?」


…この人は、いま…
何と言った…?


真顔で、“霊視”と言った?


「あら。聞いてないんだ(笑)」


そう言って彼女は、
ケラケラ笑う。





















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