sound village
「まあ、とにかく、君は
スッキリした表情をしてるよ。」
そういって話を終わりにした
真月さんに、興味本位で問う。
「真月さんは…
音村係長が、誰を選ぶのかが
わかるのですか?」
彼女が選ぶ誰かが
自分じゃないなら…
こんな気持ちには
振り回されたくない。
そんな秘めた想いを
見抜くのだろうか?
…この女性は…?
「うーん。…見ろって
いうなら、見ない事はないのね。
…でも、それで、レンちゃんが
選んだ誰かが、例えば
君じゃなかった場合…
君が夢から醒めるのなら
それは、恋愛じゃないな。
多分。」
右折表示のウィンカーを
点滅させながら、
まるで、世間話のように
言った、彼女の一言が
ガツンと心に来る。
「恋愛なんちゃあさ?
自己コントロールが効かない
ものなんだよ。」
“コントロールできている
ってのは、単に、諦めただけ
なんだよ。
縁があれば、何年後だって
繋がっているものなのよ。
…うち、みたいに。”
誰に言うでもなく
そう呟いた。