sound village



明日、旬報が発令される。


三匹がアメリカへ行く事と
私が、社長室へ異動する旨が
発令される。

何やら寂しい想いが
胸に重くのしかかる様で
苦しくて、何だかやるせない。

「あ?音村?」

「一本ちょうだい。
あのカスと話すと疲れる。」

「カスって…(笑)」

テルテルの胸ポケットから
タバコと火を抜き取り
喫煙室へむかった。


三匹とも、来週には
日本を旅立ちムコウでの
勤務に備える。
実質、今週までの勤務だ。

…正直、何人戻ってくるか…

下手をすれば、あんなに
採用に手間も労力も人件費も
かかるのに…

誰も戻ってこないかも
しれない。


いや、それについては
この案件に着手する時に
責任問題に発展することも
覚悟を決めていた。


それよりも…残り一週間
笑って過ごして
旅立ってほしい。

楽しい気分で、いつもの
若者らしい清々しい3人で
いて欲しいんだ。

だから…絶対
涙は見せない。

「楽しく行くのだ。」


自分に言い聞かせる様に
呟いて、タバコを咥え


「何故マッチ?!」


そういえば…ライターだと
気軽に吸うから、マッチに
変えたなんて言ってたな。


「何年前の話だったかな。」


随分、長い付き合いになった
ウルサイオトコの台詞に
苦笑しながら、マッチを擦った。
















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