sound village
コの字型の形状の階段
階下から響くのはーーー
「…ゴメン。
君とは、付き合えないよ。」
ワザワザ下を覗き込まずとも
その声の主が誰であるかなんて
判りすぎている。
微妙な場面に出くわして
しまった。
足音も気配も消して
立ち去ろうとしたのだけど。
「…わかりました。
これで、俺…進めます。
思い残す事がなくなりました。」
続いて聞こえた声に
目を見開く。
その足どころか、
自分の心臓が止まる様な
錯覚を覚えた。
何にーーーだ、なんて。
斐川が、本気で、
バスケに挑むつもりだと
言う事にも。
…斐川が、告白していたと
いう事実にも。
そして…自分自身…
まだ、このヒトの事を
…誰かに渡したくないなんて
気持ちが、少しなりとも
自分の中に存在していたという
現実を突きつけられたと
いうことにも……