sound village
「おお。神島、
アイツらの為にも
しっかりやって来いよ。」
そう言って、
嫌がる柏木に絡む
音村係長と佐藤係長の方を
顎で指す。
「傑作だな(笑)
自分達で、この企画を
ねじ込んだ癖に、アイツらが
一番必死に笑ってやがる。」
相変わらず呼吸ピッタリの
2人の係長に、チビッコが加わり
柏木のコメカミの血管が
ピクピク引きつっている。
…何やってんだか(笑)
あの人達は。
「神島、すまなんだな。
あんなガチャガチャした
上司の下に配属して。」
“いや、音村だけなら
もう少し、マトモだったんだが。
アイツらは、全くもって昔から…”
そうブツブツ愚痴りながら
苦笑する部長に、
ハッキリと伝えたいと思う。
「いいえ、部長。
俺は、戻って来たら、
音村係長と佐藤係長の下で、
引き続き仕事を覚えたいと
思っています。
だから…」
“帰ってくるのは、この部署が
いいです…”
自分に人事権なんて無い事は
俺だって理解していて
続く言葉は飲み込んだ。
「わかった。神島、先ずは
向こうでやるべき事、
やれる事、全部やってこい。
2度と行きたくないって
思えるくらい、やってこい。」
部長は、ただそう言って
俺の手から瓶ビールを抜き取り
“ほら、お前もグラス”と
言うように、グラスを持つよう
促した。