sound village


「ボール貸して。
あ。お前は、やるなよ。
故障したらダメだから。」


神島が釘を刺してくる。


「わかっている。
明日、空港までそのボール
連れてきてくれ。
啓太に預かってもらうから。」


ホテルの一室から
ボールを持ち出し
神島にパスを送る。


「おう。…あれ?明日
一緒に行かないのか?
別に単独でもいいけど。」


同じホテルに宿泊しているのだ。
一緒に行くのかと思ったのだろう。


「明日は、ゴリラとか
同校の奴らと会ってから行く。」


こっぱずかしいから
壮行会などお断りだと
いうのに。


「はっ?!ゴリラ?!」

「天野主将の事だ。
俺たちの間では、それで
皆、誰を指すか判る。」


ああ、コイツは、他校生だったと
改めて俺たちの間の通称を
教えれば。


引きつった笑いの後に
“俺もアイツらん中で
メガネとか言われてたん
だろうな…”とボヤいていた。










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