sound village
“…ずっ…”
“…ずっ…”
右隣から聞こえる音
ぐっと、喉に力を入れ
視線をそちらへ送る。
「…レンちゃん。
ティッシュ頂戴。」
目尻から頬を何度も
擦った跡。
赤くなってるよ?
…泣き虫。
「ん。1枚、500円也。」
「たっけぇよ。悪徳高利貸め。」
差し出した
ポケットティッシュを
受け取りながら、
テルテルは苦笑する。
「…ハンカチ、ハナカミって
遠足のしおりに書いてたよ。
ちゃんと読めよ。」
「だって…、持ってたら
泣いちゃうぢゃん。」
唇を尖らせ、鼻水を始末して
豪快に掌で、涙の跡を拭い
彼は言うけど。
「嘘つき。持ってなくても
直ぐ泣いちゃうくせに。」
舌を出して、からかってやれば
「音村ほどじゃないやい。」
同じく、白目を剥き
舌をだし応戦してくる
同期のオトコ。
「うっせえょ。バーカ、バーカ。」
負けずにやり返せば
「あ。口答えばっかすんなら
嫁にもらうよ?」
両手を広げ抱きしめようと
する同僚を。
「行かにゃいっ!!」
全力の組手で阻止した。