sound village
出発直前に… **side柏木/
寝不足感満載のまま
迎えた今日という日は
冷え込みも穏やかな晴天―――
…俺の純粋なハートと真逆な
空模様に、溜息がでる。
レンちゃん、見送りに来るって
ゆうてたからかな。
…あのヒト、大雨洪水警報が
発令しているところに
遊びに出かけても晴天になる程の
晴れオンナやって、自慢してたな。
順調に窓の外を流れていた景色が
空港に近づくにつれ、どんどん
進みが遅くなり、ついには
ママチャリにまで追い越される
様になった。
「うわ…混んでるなぁ。
兄貴、駐車場入るのに時間かかるから
空港の建物付近で降ろしても構わへん?
チェックイン間にあわへんかったら
あかんし。」
俺の不在中の車の使用権と引き換えに
空港まで送ってくれている弟が言う。
「休みやのに、悪かったな。
ここでいいよ。会社の人間、
見送りに来るし。
気遣うやろから帰れ。」
「残念。今から就職活動がてら、
顔売っておきたかったのに。」
…あざとい奴…