sound village
そろそろ、今年の新卒入社組の
配属が決まった頃だろうか?
先輩からのメールでは
うちの…俺たちのいた部署にも
3人配属されたらしい。
きっと、俺たちが戻る頃には
どちらが先輩かなんて
わからないくらい、
横並びの評価なんだろう。
『ああ、シュン。
ヨウイチロウの奴、
どこに行ったか知らないか?』
事務所の扉が開き
同僚が顔を覗かせる。
彼も、“あの当時”
俺たちが、アメリカに招集
された際、米側の選手として
居合わせていた。
…と、赴任時本人から聞いた。
『いや。半時間前に
商談に出かけたよ。』
『あ。そうだったな。』
“忘れてた”なんて
ボヤキながら
行き先を確認している。
『何かあった?』
そう確認すれば
『うん。…いや、
ああ、その手があったな。
シュン、お前今晩空いてる?』
彼は、クツクツ笑み
真意を告げず
予定を聞いてくる。
『…なんだよ?』
今でもコイツ…
いや、彼らは上司だけど…
何だか警戒してしまう。
『そんなに警戒するなよ。
マコトと2人で
俺の代わりにバスケしに
行って来てくれない?
俺は、ヨウイチロウを
病院に連れて行きたいの。』
そう宣う。