sound village
しんみりした空気に呑まれた
フリをしながら、心中で、
気まずい若気の至りを
自己処理していれば。
“俺、バスケ、やめてないよ。
今、走れないのは、
別件でちょっと無理しただけ。”
柏木がそういって笑った。
…いや、あれは…
ちょっとじゃ無かっただろ。
あの日の佐藤係長と
俺達3人の攻防を思い返す。
“今も昔も、欲しいものの為には
俺は全力で挑んでる。
何も変らないし、膝だって
もう少し調子が上がれば
俺はまたアソコでゲームするよ。”
柏木は、窓から見えるコートを
指して、そういった。
“…はやく治らへんかなぁ…”
“早くやりたいなぁ”
子供みたいに、小声で
小さくボヤいた事は
聞かなかったことにしてやろう。