sound village
「ん?なんだこれ?」
「なっ!!返せ。」
俺の腕を華麗にスルーして
ウェアのポケットから
顔を出した紙切れを取り上げ
神島がシワを伸ばす。
「D…ああ…
漸く、受けるのか。」
苦笑混じりに神島がつぶやき、
元通りに紙切れを折りたたみ
手渡してくる。
「しかし…遅いよ。お前…。
決断にしろ何にしろ。」
そんなこと…理解している。
「そんなんじゃ係長達にも
答えを出せないだろ。
宙ぶらりんじゃないか。」
ちょっと、マイペースなだけで
答えなら用意できている。
それに…覚悟もできている。
「もう、準備できている。
みっともなくも頭を下げる
覚悟も。
後輩社員と比較されても
遣りぬく覚悟も。」
真正面に視線を向けたまま
言葉にすればーーーーー
神島は、少し視線を泳がした後
“わかった”とだけ、口にした。