sound village
明らかに、膝を壊した原因が
あの時だと分かるからだろう。
「一番悪いのは、故障を
省みず、突っ走った自分
やからな。
それに、ちょっと約束したから。」
“約束”?
何か約束でもしたのだろうか?
毛布をギュッと掴む柏木を見て
掘り下げるのは止める。
「そうだな。とりあえず
頑張って復活しろよ。
こっちなら、リハビリも
捗りそうじゃないか。」
病院もそうだし、同僚にも
スポーツ科学を習得した人間が
ワンサカいるんだから。
そう遠くない日に、また
好調なコイツとゲームが
できるだろう。
「じゃあ、そろそろ行くよ。
またな。」
「ああ。」
一瞬、何か言いかけたが
柏木は、直ぐに言葉を飲み込み
片手をあげて応えた。
「何かあったら連絡してこいよ。」
そう言って突き出した拳に
「おう。」
そういって、コツンと
拳をぶつけて。
何かを飲み込んだまま、
柏木は口角を引き上げた。