sound village
「ええっと…この辺り
だったよな?」
待ち合わせ場所は、多分
この辺りだったはずだ。
「まだ、誰も来てない様だな。」
周囲を見渡した斐川が
腕時計をチラッとみる。
「トラブルが無くてよかったな。
あそこ、ベンチ空いてる。」
「ああ。」
相変わらず、省エネな返答しか
しないコイツとコミュニケーションが
取れるようになるなんて
時間の経過とやらは、恐ろしい。
「斐川、荷物見てて?
俺、水買ってくるから。」
「ああ。俺は緑茶が欲しい。」
荷物を預け、財布一つを手に
数メートル先の自販機に向い
コインを投入する。
「…やっぱ、俺も
こっちにしよう。」
メジャーなペットボトルの
お茶を購入して、何やら腕時計を
操作している斐川のところへ戻る。
そういえば、さっきから
一分遅いと不機嫌そうだったな。
「斐川。」
時計の調整は諦めたのか、
腕に装着し徐に差し出した、
ペットボトルを受け取る。
「サンキュ。代金は
次回おごりでいいか?」
「ああ。その方がいい。」
二人して、キヤップを空けて
三分の一程、豪快に喉に流し込み
潤す。
「うまい…」
「やっぱり俺は日本人だ…」
等と、何だかホッとして
感想を述べて苦笑した。