sound village
「まだ、もう少しあるな。」
「そうだな。順調で良かった。」
入国審査が長引くことも考え
待ち合わせ時間を余裕を以って
設定していた。
時差ボケも多少あって
疲れが無いわけではない。
座って待つかといいかけた
俺の言葉を
「危ないって!!レンちゃん!!」
「おい!!靴!!」
背後、遠くから叫ぶ様な数人の声と、
聞こえたその名に斐川と二人、
反射的に声のした方向へ
身体を向ける。
数メートル先に見つけた
まさかの素足で駆けてくる、
明るい茶色の髪を
ベリーショートにした
女の子
…髪、切ったんんだ…
そう思う暇もなく
「神島!!斐川!!」
そう叫んで、彼女は大理石を
加工した床タイルを踏み切り
こちらへダイブする。
彼女の唇から発せられた俺たちの
名前と、その双方の瞳から零れた涙に
一瞬で懐かしさが込上がるけれども
俺たちの胸に飛び込んで来た衝撃に
足を取られる。
「ぅわあっ!!」
「ちょっ!!係長!?」
二人掛かりで何とか受け止めた。
首に回された片腕から
その体温を感じる。
熱い…
帰って来たんだな…ここに…。