sound village




調度、一年前、
三匹が見に来てくれた
ライブイベントに
今年もまた、飽きもせず
参加している。


今年、二人にチケットを
渡そうものなら、
ぶっ飛ばしてやると
啓太には事前に重々
言い聞かせておいたので
今年は度肝を抜かれる事は
ないだろう。

そうか…一年経ったのね。

私にとっても色濃い一年だった。
感慨に耽りつつも、手馴れた
外国人風メイクにとりかかる。


「んはあぁぁあっっっ!!!!」


いつぞや…真月さんから頂いた
婚活リップを見つめ衝撃の声を
漏らす。


…衝撃の声…

と、いうには、いささか
大きすぎたのだろう…
同じ装いをした贈答主が
隣で化粧直しをしながら
ビクッと肩を揺らした。


「レンちゃん、どうした!?」

「はぅっ!!真月さぁん!!」


婚活リップが…婚活リップが…


「婚活リップが…

なくなりかけて
いるというのに…!!

出会いが無いんですけどぉぉ…」

思わず潤みかけた瞳で、
立ち上がった彼女を見上げれば、
“なんだ、そんなこと…?”と
言いかねない表情でニッコリ笑む。


「レンちゃん。おかわりよ。
おかわりなさい♪
リピーターにこそ、真の出会いは
提供されるのよ。」

そう言って、ウンウン頷く。

果たして、そうなのか!?

そういうものなのか!?


 
 

 


  



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