sound village
さっき…
貴方が下ろして
いましたよね…
…その、スカートの
ファスナー…
「テルテル、ヤッホー♪
相変わらず、あんたたち
仲悪いよね(笑)
ちょっと早いけど、久々に
神島くんも一緒にお昼
食べに行かない?」
魔王モードを解除した
音村係長が、和かに
財布を振る。
呆然と目線を遣れば
間口の音村係長の背後
通路には、一連の出来事を
目の当たりにしていたのだろう
挙動不審な総務部のチビッコと
無表情を必死で取り繕う
斐川が居て。
「わあっ♪音村じゃん♪」
「テメェは誘っちゃいねえよっ!!」
ご機嫌な佐藤係長が、音村係長に
飛びつき、顔面を鷲掴みにされ
本気の抵抗にあっている。
「照れるなよ♪ハニー♪」
「誰が、ハニーだ。ざけんな!!」
こぶしを額に押し付けられ
身体を離された佐藤係長が
こちらを見遣る。
「おう!!飯行くべ!!神島!
それ引き出しにブッコんで
施錠しておけ。ほらっ!
行くぞぉぉ!!」
“飯♪飯♪”おかしな鼻歌を
奏でながら、佐藤係長は、
勝手に俺の手元から書類を
取り上げ、自分のデスクにしまい
鍵をかけて、ニンマリ笑んだ。