sound village


あの無表情オトコが笑った。

学生時代は、試合でしか
接触していないけど…
就職してからの付き合いだけど。

こんな風に笑うだなんて。
感情を表情に出すだなんて。

チビッ子啓太…恐るべし。
とんでもなく警戒心を
破壊させる能力があるな(笑)

「管理システムって、何?」

業務提携先ってだけだろう?
管理システムなんて連動させる
必要がないんじゃないか?
単純に湧き上がった疑問を
口にすれば。

「ああ。直ぐに思いつくのは
名刺発行とか、そういう雑務?
単純に営業に集中できるように
ムコウの庶務の一部を、うちが
業務委託で代行するんだ。」

…そう、啓太は言ったけど。
俺には、音村係長が、
アイツを完全に手放したくないって
言ってるような気がして。

…アイツと俺たちとの関係性が
切れないようにって、何か関わりを
残そうとした様な気がして。

…深読みかもしれないけど。

…単に、
細かい面倒事の一切が
自分で出来ないリヒトが
妙な親心を出しただけ
なのかもしれないけど。



 



< 535 / 625 >

この作品をシェア

pagetop