sound village
「それは、…むしろ…
自信もってるよ。
そもそも、新卒入社した会社って
いう理由だけで、魅力を感じなく
なって迄、固執して、骨埋める
つもりなんざなかったし。
早い時点でやりたい事に
出会えたし、気づけたんやから。」
…でも…
チビッコの察しの通り…
…俺の転籍は
実のところ
レンちゃんにとっては
裏切りやったんやろうか…って
今でも、少しだけ
考える事がある――――――
まぁ…賽を投げたのは
自分自身やから、いまさら
どうしようも無いんやけど。
その通りであったとしても。
「じゃあ、やっぱり
柏木君は自分で聞くべきだよ。
人に聞いて諦める位なら
早かれ遅かれ、なるようにしか
ならない訳だから。
聞く意味ないしね。」
喫煙室の方向を見上げて
チビッコは言う。
前からそうやったな。
ビビリかと思えば、ちゃんと
自分の意見を持っていて
レンちゃんの事を
誰よりも応援したいと
思っている。
「相変わらず、
レンちゃんの味方につくんやな。」
変らぬ心の強さに苦笑すれば
「当然でしょ―。
俺とカノジョは、いつだって
レンちゃんに付くんだから。
見くびっちゃ困るよ。」
そう言って、クスクスと
笑顔を返した。