sound village
「ごめん。30分後に
アポが入っていてね。
後にするよ。」
手帳をめくりながら、そう
いうので、今日の所は
素直に引き下がっておいた。
社屋から一歩外にでると
眩しいくらいの青空だ。
暑い…
一緒に行くはずの啓太の姿は
まだ無く、待機ついでに、
神島に行き先となる店を
メールで確認する。
確か、社用車で直行してたな。
せめて帰り位、乗せてもらわないと
暑くて溶けてしまいそうだ。
「斐川くん。お待たせ!!」
少し疲れた表情の啓太が
それでも笑顔を浮かべて
足早にやってきた。
「いつもの店だ。行くぞ。」
「おお♪俺、鯖の味噌煮食べたい。」
ご機嫌な表情で食べたいものを
意気揚々と述べているが、
こいつはいつも注文の時には…
「やっぱ、唐揚定食ください♪」
…同じものを頼んでいる(笑)
「期待をうらぎらねぇな。」
神島も予想通りの啓太の行動に
苦笑している。
「だって、ここの唐揚ウマイもん。
俺は、皆みたいに肉体改造しなくて
いいから。油モン食っちゃうよ。」
手元に配膳された唐揚定食に
目を輝かせる啓太に思わず
笑ってしまった。
「啓太もやれば?バスケ。
皆で教えるよ?」
焼き魚を解しながら
お馴染みの台詞を吐く神島に
「俺は見てるだけで良いよ。」
同じく定番の返答をしている。