sound village
独り立ち**side神島
「あら?二人とも
お帰りなさいよぉ~」
休憩から戻った俺と斐川を
不思議なイントネーションの
日本語で、音村係長が迎えてくれる。
「ただいま戻りました。」
柔らかい笑みをもって、
斐川が応え、社用車のキーを
所定の場所に戻している。
「係長、昼飯まだですよね?」
来客を見送って戻って来た
音村係長に念のため確認する。
「もう少ししたら行くよ。」
…そう言って、行かなかった事
何回もあるだろう…アナタ…
「忙しそうだから、弁当買って
きました。好きでしょ?
あの定食屋さんの出汁巻き玉子」
目の前に、弁当の入った袋を
吊るせば
「マジで!?マジで!?
食べたかったんだよぉ~♪
イヤン♪いい香りぃ~♪」
弁当に頬ずりしている。
「あ。そだ。お駄賃をあげよう。
これでオヤツでも買って来なさい。」
余程食べたかったのだろうか?(笑)
音村係長は、名刺入れの内側に忍ばせた
千円札を出して俺の掌に握らせる。
オヤツ代って(笑)
…なんか…
おばあちゃんっぽいんですけど
…言おうモノなら、鼻フック等
瞬殺で、当たり前の如く食らいそうなので
お礼だけ述べて、札をポケットに
収めておいた。