sound village
『お開きの空気も
若干出て来てるけど…』
場の様子を聞けば
そんなチビッコの見立てで。
…中途半端やし、今日は
やめておくかな…
「じゃあ今日のところは
任せても構わへんかな?
流石にちょっと疲れた。」
溜息混じりに、そう零せば
『大丈夫じゃない?
オッサン達の聞き役は
斐川君がしてくれてるしね。
…多分半分も話聞いてないと
思うけど(笑)
このまま終われるんじゃ
ないかな。』
そう言って、ケタケタ笑う。
近日中に詳細を聞く場を
設ける事にして電話を切る。
溜息を一つついて、
スマートフォンを鞄の中に
放りこみ、駅に向かって
歩き出した。
既に終業時間を過ぎたオフィス街は
ちらほらブラインド越しに
照明の明かりが漏れてきている。
残業か…
相変わらず、日本人の
仕事の仕方ってなぁ…とか
思い廻らせかけて気づく。
そういえば、こっちでは
上司がキッチリしていて
残業になる事は殆ど無かったし
そもそも、自分は、一人前と
言うには到底至らない状態で
あった事を。
「直ぐ転職したしなぁ…」
思わず声に出して呟いていた。