sound village
「あれ?今日は、
出汁巻きタマゴじゃなくて
いいんですか?」
会社から近い、中国人が
経営する、本格中華飯店に
連れて行けば、神島君は、
珍しそうに内装を見ながら
そんな事を口にする。
「たまには、いいでしょ?
ここ、めっちゃ美味しいよ。
テルテルが発掘したんだ。」
…ここは仕切りの使い方が
うまく、個室とは行かずとも、
プライバシー管理がしやすい。
そして、ここは超穴場。
平日でもウチの社員が来る事は
ほぼ無い。今日は、土曜日。
尚更、社員に遭遇する確率が
低いといえる。
「相変わらず、美味しいお店
発掘していきますね。係長達は。」
ランチ定食に追加して頼んだ
エビチリを小皿に取り分けながら
神島君は言う。
「テルテルの才能だよ。
凄くうまいんだよ。
こういう穴場探し。
人懐っこいから、お店のヒトとも
仲良しになっちゃうしね。」
「安くて美味くて穴場って
最高じゃないですか。」
「そうでしょ♪お水いる?」
「あ。俺は大丈夫です。」
自分のコップに水差しから
水を注ぎながら、彼にも
尋ねれば、そう応えて、
ニッコリ笑う。
…さて。
「っで、斐川くんは、
最近どうした?」
間伐いれず、本題をぶっこんだ。
テルテル程になれば、
ばっくれ切るが、このタイミングで
切り込めば、大抵の若造は、
ボロを出さずとも、狼狽するなど
何らかの反応を見せる。
「…えっ?!」
例に漏れず、素の反応を見せた
神島君は、一般的で信用に値する。
これからの回答が…嘘であれ
本当であれ。