sound village


“ああ…間に合わなかった”
“遅いよ!神島くん!!”
“すまん。調度電話が…”
背後で息を切らせた声と
焦った声が小競り合いを
している。

「ビンタじゃないだけ感謝しろ。
クソ兄貴。テメェの嫁からは
制裁の許可は取得済みだ。
ややこしい時に、ややこしい事
すんな。バカ。」

「ええっ?!ハニーに言ったの?
俺帰ったら、本気で怒られるん
だけど…。レン、今日、うちに
ご飯食べに来ない?」

「誰が行くか!!貴様は
ボコられてしまえば良い。」

“ええ…一緒に謝ってよ”などと
唇を尖らせる様は
全くもって見苦しい。

いい歳ブッこいたこんなのが
ママ違いの兄弟…余談であるが
我が家の父親は結婚2回目だ。
一般的には腹違いの兄弟という所
初代・二代目、両母親達が実に
仲良くやっている我が家は、
そう呼ぶ様教え込まれ育った。

そして、昔から、次男のコイツは
私の初恋やら初デート、ことある度
邪魔…イヤ、弄くって来たのだ。

流石に今回は、バレたくない。
コイツに絡まれたくないのだ。

「ねえ、レン。“ややこしい時”って
何だろうね?」

ほら、もう言葉のあげあしを
取ってくるじゃない。

「仕事に決まってるでしょ。」

ほんの少しも顔色にださない様に
万全の振る舞いを見せねばならない。
本当に油断ならないのだから…


 

 

 

 









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