sound village

ミッションコンプリート **side柏木



「大丈夫だよ。」

そう言ったのは、
大好きな女の子。

彼女越しに視界に入る就活生共が
彼女の背後に立つ俺を見遣り
瞳を見開いている。

「待たせてゴメン。」
「!!」

そういって、背後から
無言で固まってしまった
大好きな女の子を、片方の
腕に抱きとった。

「自分ら、もう、話すんだやろ?
っつうか、済んだよなぁ?
俺、この人に用事あるから、
連れて行くから。」

有無を言わさず争奪を試みる。

「こら、待て。1号」

焦ったレンちゃんが
懐かしい呼び名で俺を制すから
ピタッと動きが止まった。

「この子達、テルテルの子供
なんだぞ。威嚇しないの。
って…ヤバッ!言っちゃったよ…」

「え…?え…?!」

あわあわしてるとこ見る限り
思わずリークしたって感じか…

…って、テルテルの子供…??

え?テルテルって…佐藤係長…??

…え??あの元上司の???

今度は俺のほうが
瞳が飛び出そうになる。
…どういうことやねん
あの男、既婚者やったんか?

「あ。ゴメン、部長から電話だ。」

そして、まさかの気まずい三者を
放置して、レンちゃんは
少し離れた場所で、部長からの
電話に出てしまった。

…どうすんねん。
この状況…

「…」
「…」

微妙な無言の学生を前に、
話題を模索する。
頑張れ、俺、口火を切れ。
躊躇いがちに口を開きかけた
俺より先に女子学生が口を開いた。


 








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