sound village
倉庫内にガサゴソという音と共に
携帯の着信音が響いた。
「ん?電話だ…」
そう呟いて、彼女は電話にでる。
「ああ、透っち♪ナニナ~ニ?」
・・・また、あの弁護士か・・・
昼日中にかけてきやがって
ヒマかよーーー
「ん?あ、音合わせ?了解。
ありゃ、いま、手帳ないや。
っつか、今晩、顔合わせじゃん。
その時取り決めようよ。」
相変わらず続く緩い会話に
なぜか、イライラするーーー
ーーーーが、
「まじ?情報とれたんだ。
サンキュ。早めに事務所寄るよ。
それじゃあ、またあとで。」
床タイルの上で、あぐらをかき
パッキンの中を漁りつつ
電話をしていた係長の目が
スッと鋭くなったのを視てーーー
俺は無意識のうちに
動きを止めた。
このひとはーーーー
何か、とてつもない事を
考えているーーーー
自分の中の、勝負師的感性が
うるさく騒ぎ出して
係長の、その眼差しの強さに
息をのんだ。