sound village


倉庫内にガサゴソという音と共に
携帯の着信音が響いた。

「ん?電話だ…」

そう呟いて、彼女は電話にでる。

「ああ、透っち♪ナニナ~ニ?」

・・・また、あの弁護士か・・・

昼日中にかけてきやがって
ヒマかよーーー

「ん?あ、音合わせ?了解。
ありゃ、いま、手帳ないや。
っつか、今晩、顔合わせじゃん。
その時取り決めようよ。」

相変わらず続く緩い会話に
なぜか、イライラするーーー

ーーーーが、

「まじ?情報とれたんだ。
サンキュ。早めに事務所寄るよ。
それじゃあ、またあとで。」

床タイルの上で、あぐらをかき
パッキンの中を漁りつつ
電話をしていた係長の目が
スッと鋭くなったのを視てーーー

俺は無意識のうちに
動きを止めた。

このひとはーーーー

何か、とてつもない事を
考えているーーーー

自分の中の、勝負師的感性が
うるさく騒ぎ出して

係長の、その眼差しの強さに
息をのんだ。


 
< 58 / 625 >

この作品をシェア

pagetop