sound village
『さて、面倒な世間話は無しだ。
そろそろ仕事は軌道に乗っただろう。
柏木が、改めてワシに頼み事なんて
大概、音村絡みの事なんだろう?』
おおよそ、俺の言いたい事など
察しが付くといった様に、部長が
ニヤリと笑う。
…まあ、コンサル会社の営業部長を
任される位の人やねんから、この程度
想像に容易いだろうが。
『え?音村…?って、あの音村さん?』
『…はい。』
手土産の茶菓子をお茶請けに
持ってきてくれた、部長の奥様が
まさかの反応をするから、一瞬、
たじろいだが、奥さんの
好奇心旺盛の表情を見る限り
この人は、俺の見方になってくれると
瞬時に判断する。
初対面でどうかとも思ったけど
俺の積年の想いと、計画を吐露した。
俺の話を聞いた部長の奥様は
部長の腕をバシバシ叩きながら
“キャー!!ロマンティック!!”と
連呼していたけど、部長は眉間に
皺を寄せていた。