sound village
「ギャー!!神島さん
汚ねぇっすよ!!」
咄嗟に身をかわし、
惨劇から逃れた斐川の同期から
ガチのクレームを食らう。
「…すまん。気管に入りかけ…」
ゴホゴホむせながら謝る。
「マジで勘弁して下さいよ。」
ブツブツ文句を垂れるコイツに
本当の理由など言えるはずも
言ったところで、俺の動揺が
理解できるはずも無い。
…手を繋いで歩いていたのが…
しかも、恋人繋ぎだったし…
柏木の隣で、俯き加減に、
はにかんだ笑みを
浮かべていた女性が
…音村係長だったとか…
ビックリするだろうよ!?
…柏木は、本気だったんだな。
音村係長の事…本気で
手に入れようとしてたんだな。
今更ながらに、シミジミ思う。
あの策士なオトコの事だ。
あの場所で、あの様子、
考えられる事は、
作戦の仕上げ段階に
入ったって所だろうか。
俺も今、何気に
思いついただけだが…
アイツの“作戦”って
とてつもなくエグそうだな(苦笑)
音村係長も、蜘蛛の巣に
絡め取られた蝶ってところか…
…それとも
もうひと暴れするつもりか…
事これに関しては、十分な
準備期間を設けた柏木が
勝利を手にする予感がする。