sound village
ピーターパン**side柏木/
対岸がギャーギャー
うるさい。
「…なに?」
指を絡めたまま
一歩後ろを歩く、レンちゃんが
生垣の方を、気にしていて。
「ん?なんかのサークル系の
おっさん集団やろ。」
そう言って、
興味を逸らしておいたけど。
…俺の勘違いでなければ、
さっき一瞬、生垣の隙間から
神島を見かけた気がする(笑)
やっと繋いだ手の温もり。
無意識に指先に力をこめれば
ちょっとピクッと絡まった指が
動くのが、なんとも言えず
胸がキュッとして、何か
こみ上げてくるものがある。
「…わぁあ。キレイだね。」
レンちゃんの感嘆の声に、
その視線の先へ目を向けると
ブライダル誌の撮影クルーらしき
集団が、一組の男女モデルを
囲んでいた。
「ほんまやな。レンちゃんは、
ウェディングドレスも似合うと
思うけど、いつかみた
キャバドレスのインパクトが
強すぎて(笑) 想像したら、
どうしても外人になる。」
思わず本音を漏らせば、
隣でレンちゃんが、
声を上げて笑う。
「そうだろうね。
私もそう思う。そもそも
日本人だったら綿帽子だよ。」
「それ、スゴイ似合うと思う。」
…想像したら、鼻血でそう…
そして、その隣に立つのは、
俺がいい。